昼食を済ませた我々一行は次の見学地である万景台少年芸術宮殿に向かった。トヨタの角刈りはサーカスが見たい、との事で森健ガイドとともにそちらに。ピンクシャツも一緒にいなくなれば良かったのに…。
で、ここはよくテレビなのでも紹介された満面の笑みを浮かべた子供達が歌ったり踊ったりしている所である。建物は白く巨大で入り口付近のホールも美術館か劇場のように立派なのである。入り口のロビー付近には我々の他に中国からのツアー客やヨーロッパからとも思われるツアー客もいた。そこに現れた、多分小学校5〜6年生ぐらいと思われる女の子に案内されて我々ツアー客はぞろぞろとその後について行くのでした。途中その女の子が何やらイロイロ説明をしてくれるのだが、声が小さいのか場内が広くて声が届かないのかよく聞こえなかった。その事について今回デビューの女子ガイドは「声が小さいのよねー!」と少しおムズカリのご様子だった。
彼女はこの女の子の話を日本語に通訳しなければいけないのに、これじゃぁちゃんと仕事が出来ないじゃないか!とでも思ったのだろう。非常に仕事熱心でマジメなお嬢さんなのである。おせっかいオバサンならウチの息子の嫁にどうだい!なんて言ってしまうのかもしれない。
ここ万景台少年芸術宮殿は放課後の子供達が集まって来て、歌や楽器、習字や刺繍など日本で言う習い事のような事をする場所だそうだ。いくつも部屋を出たり入ったりしながら子供達の練習風景や歌や楽器演奏を見学した。最後に室内プールに通されたのだがここで水泳をしている子供達は練習をしてると言うよりただ遊んでるだけのようだった。放っとかれると子供はすぐに遊び出すものである。
幾つも教室を見学して、なぁんだコレだけだったらサーカスでも良かったなぁ。なんて思ってたら最後に万景台少年芸術宮殿内の劇場に通された。この劇場はなんだか昭和の雰囲気のある、まぁ古い感じではあったが、オーケストラピットもちゃんとある立派な劇場で観客も1000〜1500人くらいは入りそうな大きさだった。そこに本日の万景台少年芸術宮殿見学ツアーのお客が集められた。お客の多くは中国からのツアー客で他にはヨーロッパからの人達も少々、そして別チームの日本人ツアー客もいたのだった。
ちなみにこのゴールデンウィークに北朝鮮入りした日本人ツアー客はだいたい20人くらいだったそうだ。他には、最初は日本人ツアー客かと思ったがホントは日本の朝鮮高校の修学旅行の生徒達の集団もあった。彼ら彼女達は国籍こそ朝鮮籍ではあるが、日本で生まれ育っている事もあってか、どう見ても髪の毛の茶色い渋谷にいても違和感のない感じだった。この中から何人かは高校卒業後、北朝鮮の大学に留学する人達もいるそうだ。
今回デビューの女子ガイド曰く、日本からの留学生は入学当初こそ、今時の日本の若者のように髪の毛を染めていたり、洋服も日本の他の若者と大差ない格好をしているそうだが、時間が経つとともにみんな北朝鮮の若者のようになって行くらしい。みんな日本の堕落した生活態度から革命的な大人になって行くって事なのだろうか。
ってな事を考えていると、ステージに女の子が現れ、独特な抑揚を付けた話方の宣誓?から舞台が幕を開けた。歌や踊り、楽器の演奏と盛りだくさんだったが、舞台の盛り上がるところですかさず後ろのスクリーンに金日成の肖像が投影されるあたりこの国らしいと思った。
子供ばかりの舞台ではあるが内容的にはかなり完成度が高いと思った(多少古くさい感じもあるが…)。独特な作り笑顔やクセのある歌い方、話し方もコレはコレで一つのスタイル、伝統芸と思えば純粋に舞台を楽しめるのでは…と思った。思いの外満足度高めな見学であった。
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